「ハンドメイド副業は儲かるのでしょうか?」
わたしたちも時々そういったご質問を受けます。
もちろんそれは、個人の満足度によっても異なりますよね。
お小遣い稼ぎの方と、本業を目指している方とでは当然感覚も変わってきます。
ただ間違いなく言えるのは、ハンドメイドは今ものすごく競合の多い時代と言う事です。今日は、そんな中でどのようにして参入すべきなのか、私たちの具体例を交えながらご紹介します。
ハンドメイドで稼ぐ方法とは?
ハンドメイドで副業と言っても、色々な考え方や手段があります。
例えば、アクセサリーを作ってメルカリで販売するのもそうですし、ポーセラーツの資格を取得して自宅でサロンを開業するのもありですね。
何れも規模が大きくなれば起業に結び付くでしょう。
夢もふくらみますよね。
自分で行動を起こしたとき、メリットとなるのは自由に水平展開できることです。
例えば、フラワーアレジメントを行っていた方は、ハーバリウムも始めやすいですね。
実際、サロンを経営する方は複数の資格を持つ方が多いです。
もちろん全然関係のないことでも構いません。
販売ルートさえ出来れば、そこにはどんな商品を並べても自由なのです。
また商品だけでなく、手元にある材料をキットにして販売するなど、やり方次第ではどんどん収入を増やすことができます。
販売方法はいろいろある!
販売方法としては下記のような方法があります。
- 地域のフリーマーケットで販売する。
- ショップに頼んで販売してもらう。(委託販売)
- メルカリ・ヤフオクなどで販売する。
- フリマサイトで販売する。(ミンネ、クリーマ、イイチなど・・)
- ECサイトで販売する。(ECキューブ、楽天、アマゾン、カラーミー、BASEなど)
- ワークショップ・サロン経営・教室を開く。
下へ行くほど難しくなるイメージはありますが、例えば内向的な性格の方にはサロンは難しく感じるでしょうし、パソコンの苦手な方はネットショップが難しく感じるかも知れません。
これらには、それぞれ特徴があり、先ずはあなたに合ったものを選べば良いのですが、一つだけでなく併用することもできます。
あなたに合った方法はどれ?
ところで、あなたが「ハンドメイドで副業」を考えた動機とは何でしょうか?
例えば、先ほど例に挙げたポーセラーツサロンを開業される方は、働く場所にウェイトを置いた方が多いです。小さなお子さんがいても始められるのは自宅サロンの強みですね。
また環境を逆手にとって、子連れの主婦をターゲットにするなど、自分中心で設定がしやすいです。
ECサイトの場合もそうですが、自宅で作業を行えると言う事はワークスタイルとしてかなりのメリットがありますよね。通勤時間なども無くなりますし、一般的なOLに比べて時間の使い方が全く変わってきます。
皆さんお金を稼ぎたいと言うことに変わりはないと思いますが、いくら欲しいのか?直ぐ必要なのか?時間や場所に制約はあるのか?などによっても選択肢は変わってきます。
・時間はどれくらいとれるのか?
・資格はあるか?これから取る気はあるのか?
・パソコンの知識はあるか?これから学ぶ気はあるのか?
・最終的に起業する意思はあるか?
ハンドメイドは儲かる、儲からない?
気になる他の人の売り上げ
さて最も皆さんが気になる事だと思いますが、ハンドメイドで他の人はどれくらい利益を上げているのでしょうか?
答えは当たり前ですがケースバイケースです。
抜群の知名度を誇る人気作家さんと、無名の作家さんとで平均値を割り出してもさほど意味は持たないですよね。テレビに出演したり、制作のライセンスを取得したりすれば数千万円の収入も夢ではありません。一方、月の売り上げが1万円さえ満たない方もいらっしゃるでしょう。
収益は当然あなたのスキルと努力に左右されるものです。
既に独創的なオリジナル商品があるのか、それともこれから新規でディプロマを取得しようとしているのか?
販売は実店舗なのか、ECサイトなのか・・・?
そして何といっても参入する分野の選び方が最も重要になります。
ハンドメイドブームはチャンスなの?
ここ数年は空前のハンドメイドブームと言われています。
これを大きなチャンスと見てアピールする方もいらっしゃいますが、手放しには喜べません。
なぜなら盛り上げているのはフリマサイトだったり、材料屋さんだったりするからです。
彼らにとっては「ハンドメイド作家さん」がお客さんでもある訳ですから、当然そうなります。
販路の拡大と敷居が低くなった分、参入者も倍々で増えました。
ミンネやクリーマなどのフリマサイトが出来たと思ったら、今度はメルカリでハンドメイド品が売られるようになりました。
メルカリは、ただでさえ安い価格を更に値切り交渉する文化です。
(私もこれまで260件取引してきましたが、累計額など微々たるものです)
こうした取引が主流となった今、正直ハンドメイド品で稼ぐのは簡単ではないと自覚した方が良いでしょう。
ハンドメイド品の売値の決め方
昔と今の値段の違いとは
儲けるとは、すなわち利益を上げることですが、ここで少し原価と利益についておさらいしておきましょう。
粗利:売値から原価を引いたもの
以前(20年くらい前まで)は、売値の決め方として、
『原価+利益=売値』の構図が一般的でした。
つまり原価に欲しい利益を上乗せして売値を決めるのです。
具体例に置き換えるとこのようなイメージです。
加工費は外注した場合に発生しますので、自分が作ればここは人件費と考えても良いでしょう。販管費は、宣伝など営業活動に使う経費です。
粗利は欲しいお金、実際はここから電気代などの諸経費が引かれます。
モノがなかった時代は、作り手にとっても良き時代でした・・・
しかしこれは、あくまでも売り手が強かった時代のお話。
現代は、売値は買い手が決める時代です。
つまり『売値-原価=利益』の構図です。
売値を買い手が決めるとはおかしな話ですが、話を先に進めましょう。
全くの新商品でない限り、似たような機能のものが既に世に出回っています。
消費者はあらゆる情報ツールを使って簡単に比較購入しますので、売れる価格(相場)はあらかじめ大体決まっているのです。
売値を決める苦労はなくなりましたが、これは笑えない話です。
残念な事ではありますが、日本人の多くの頭の中は、既に中国産だとか100均の価格に侵されてしまっています。
その為企業は、少しでも利益を確保するために、材料費をどんどん落とし、製造コストを極限まで落とします。こうしてその企業に関わる方々の給料はどんどん減らされていくわけですね・・・
今まさに長きデフレから抜け出せない現状があるのですが、ハンドメイドでもこれを行うと当然悪循環になります。
価格設定の悪循環とは
先ずはただでさえ過密状態と言われている中で、某フリマサイト自体が「手作り=安い」を宣伝にしているのですから、どうしようもありません。
参加型サイトの運営側は安売りを好みます。時代背景により安ければ売れる訳で、出店者にも値段を下げるように促します。
なぜ国内の作家さんたちが、一点一点心を込めて手作りしているものが、人件費の安い工場で大量生産されたものより価値が低いのか分かりませんが、このような考えが定着しているのは悲しき事実です。
よく、「素人の手作り品ですので、多少は大目に見て・・」みたいに販売している方がいますが、それでは自らがハンドメイドのイメージを悪くしていることになります。
納得できるかどうかは別として、そんな中で競争するには、「仕入れ値」を下げるしかありません。
ところが既に極限と言っても良いであろう仕入れ値を、更に落とすのは簡単な事ではありません。こうなるとどんどん程度の低い負のスパイラルに陥りますね。
それでは益々ハンドメイド品の価値を落とすことになります。
私たちは今、多くの問屋さんとお付き合いしておりますが、品質を落とさず価格を抑える為には長い信頼関係が必要です。最初に法人格を目指したのも、先ずはこれが主目的でした。
最近は、個人でも取引できる問屋さんも増えていますので、仕入れ先の有無も商品開発の重要なポイントとなりますね。
ただそうしたお店は、元々企業が相手に乗らないような低品質なお店が多いです。
私も以前中国の会社と直接取引した経験がありますが、不良品のクレームを入れたら、「少し余分に入れているから大目に見て」との回答でした。
元々不良品が混入される前提の、検品さえしない世界ですから、こちらも覚悟が必要です。
さて、そんな環境の中でどうやってハンドメイド販売で活路を見いだせばよいのでしょうか?
ブランド力と付加価値を付ける
薄利多売は大手にお任せ
「薄利多売(はくりたばい)」とは、小さな利益で多くの商品を売ることを表します。
これは、大企業や人件費の安い国などが得意とする分野で、多くの企業はこれで成長してきました。
ハンドメイドでもこれを真似すると、当然儲かりません。
何故なら、個人では多売出来ないからです。
ハンドメイドの弱みは、工場のように大量生産できないことにあります。
でもそれを強みに変えることはできます。
例えばハンドメイド品の良さは、柔軟に付加価値を付けられることにあります。
お客様の名入れを行う。
お客様の希望の仕様でお作りする。
最高の技術・品質で作る。
生涯保証・サポートをする。
商品により付加価値の付け方はいろいろあるでしょう。
親子でお揃いにしたい方もいれば、アレルギーで材料に拘りたい方もいます。
これらは全てお客様にとっては魅力的な価値であり、お金を余分に払ってでも購入したいと思えるものです。
そして付加価値を付けるからには、一人一人に対し商品を考えなくてはなりません。
つまり、万人に向けた商品ではなく、一人をターゲットとした販売方法を考えます。
こうした考え方を「ペルソナを意識したマーケット」と言います。
強みを活かしたマーケット開拓
ペルソナとは顧客を年齢や性別などで単純に分けるだけでなく、収入・趣味・嗜好などより明確に個性を表したものと思えば良いでしょう。
お客様は十人十色です。
例えば同じ「つまみ細工のかんざし」でも正絹で作ったものと100均のカットクロスでは客層が異なります。また同じ購入者でも一生に一度の成人式と正月とでは、欲しいものも異なるかも知れません。
自分がどんな方、どんなシーンに向けて商品やサービスを提供したいのか、何が出来るのかを先ずははっきりとさせましょう。
こうした場合、集客から購入にいたるまでの動線が非常に重要なポイントとなり、アプローチも変えなくてはなりません。
更にはブランド力も必須となります。
SNSでフォロワーを増やす方法、いわゆるセルフブランディングでも良いですし、お店(商品)のブランドを高めるのも良いでしょう。
ブランド力は、長い時間をかけて作られるものであり、儲ける為には最も注力しなければならないもののひとつです。
そしてブランド力を高めるならば、雑多なものが集まるフリマサイトなどではなく、独立したECショップの方が有利になります。
ハンドメイドは儲かります。
ただし、最初は競合の少ないニッチな産業で、高付加価値を目指すのがセオリーとなります。
参入の際はこれらを意識すると良いでしょう。
・自分にもできそうな気がしたから
・自宅で副業がしたいから